明治時代に生きた浅田宗伯という漢方鍼灸医のお話です。あるとき、和泉屋の番頭の利助という人がたいへんな高熱を出し、痩せ衰えて診断を仰ぎました。他の医者は風労という病気で助からないと言いましたが、宗伯は「弱っているのは確かだが、よくなるかもしれない」と、いくつかの漢方を処方しました。10日あまりで熱が引き、食欲も出てきたので、利助は一家をあげて「生き返った」と喜びました。 宗伯は「私は自力で生きる力のあったものを生かす手助けをしただけだ。」と笑ったということです。 浅田宗伯は私の曾々祖父にあたります。私も宗伯の意を継いで、人が自ら持っている「生きる力」をより輝かせるお手伝いができるよう、研鑽を積んでいきたいと思っています。